“………もう、何かのせいにして自分を疑うのはやめた”

 
 
 

「千年万年りんごの子」


 
 
 
田中相 著(講談社)
 
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 試し読み、おすすめです。
 
 
【絵が美しい度】
★★★★★
【読んですっきりする度】
★☆☆☆☆
【田舎を感じる度】
★★★☆☆
 
 
 

■あらすじ

第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作。雪深いりんごの国に婿入りした雪之丞。昭和の激動から離れ、北の家族と静かに巡る四季は親を知らない彼の中になにかを降り積もらせてゆく。それは冬、妻の朝日が寝込んだ日。雪之丞の行動が、りんごの村に衝撃を与えた。りんごの時間が動き出す、田中相初連載作!

講談社公式サイトより引用
 
 
 

■絵がとにかく美しい。

 
舞台は雪国。
 
音もなく静かな、シンとした冷たさが、絵から伝わります。
作者の田中さんは美大出身とのことで、納得です。
 
線1本1本が、洗練されていて、美しいのです。
 
たとえばりんご1つ描くにしても、無駄な線がなくて、でも足りなすぎるわけでもない
 
心理描写の大切なシーンでの背景とのバランス、構図、コマのどれもが1つの絵画作品(あるいはイラスト作品)のようなきれいさです。
 
 
 

■二度三度と読んでほしい。

 
一度目は自分の心の速度に合わせて、細かいこと気にせず勢いで読んでほしい。
 
二度目は、言葉では表しにくい微妙な心情を描くシーンに、目を止めなら読んでほしい。
 
三度目は、いろんな考察サイトを読んでから、伏線や背後にある情報を意識しながら読んでほしい。
 
それくらい、絵も、内容も、情報量が多い漫画です。
 
 
 

■あらかじめご注意を。とにかく、報われません。

 
ハッピーエンドを期待して読むと、心が潰されます。
 
ものすごく愛に溢れて、「この2人みたいな関係になれたら」と思う一方で、もどかしくて不甲斐なくて、心がぐちゃぐちゃになります。